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【行ってみる】野田地図<表に出ろいっ!〜One Green Bottle〜>プレビュー公演〜本公演を観て(ネタバレあり)

10月末〜11月中旬まで池袋にある

東京芸術劇場シアター・イーストでは野田地図番外編

【表に出ろいっ!-One Green Bottle-】が上演された。

 

野田地図に関しては以前、このブログでも書いたが、

劇作家、演出家、俳優として日本のトップ3に入るであろう

野田秀樹さんの演劇ユニットである。

 

今年の頭には『足跡姫』という新作が上演し、盟友でもある

十八代目中村勘三郎さんへのオマージュというのが話題になり、

実際、劇場で涙した方も多かった。

 

【表に出ろいっ!】も中村勘三郎さんと2010年に野田さんが

一緒にやった芝居である。当時は娘役がWキャストになっていて

演劇界と歌舞伎界のトップ同士の共演で中々チケットが取れなかった

そう。残念ながら、この時、僕は演劇をまったく観ていない時期で

今、考えれば惜しい事をしたと悔やむばかりである。

 

今回の【表に出ろいっ!-One Green Bottle-】は9年ぶりの新作英語劇。

 

英語劇である。

 

正直、僕は野田作品は必ず足を運んでいるのだが、この作品に関しては

多分、スルーで来年の野田地図、何やるのか、誰が出るのかとばかり

考えていた。

 

結論から言うと、この作品。

プレビュー公演と本公演、2回観に行きました。

 

とてつもない面白さだった。

改めて、この公演に関して振り返ってみたいと思う。

 

作品のあらすじ、ネタバレなどは簡単には書きますが、

もっと詳しく書いている方も多いと思うので、そのあたりは

ググって下さい。

 

色々話す前にこの舞台の大まかな事を話しておきたい。

 

これは、野田さんとイギリスの役者、キャサリン・ハンター、

グリン・プリチャードの3人芝居である。そこに歌舞伎特有の

生演奏が加わるという非常に面白い構成になっている。

 

そして、さっきの英語劇という部分。

そう、これは日本語で展開されない。英語でのお芝居なのである。

 

なので、海外の友人が多い人やバイリンガル

レベルの人じゃないと何を言っているのか全く分からない。

 

そこで、日本語のイヤホン・ガイドというのが配られる。

 

これは、片耳にイヤホンを付けるとそこから日本語訳

(これも野田さんが訳したらしい)が流れ、観客は片耳から日本語、

片耳からは生の英語を聞きながら、鑑賞するわけである。

 

また、イヤホン・ガイドも豪華でキャサリン役を大竹しのぶさん、

プリチャード役を阿部サダヲさん、野田さんは野田さん自身が吹き替えを

している。

 

舞台のあらすじとしては、家族3人のお話。

 

父・母・娘。この3人のある日の夜を描いている。

3人それぞれが、出掛けたい用事があるのだが、

飼っている犬の出産が近い為、誰か一人が残らないと行けない。

 

しかし、3人共にそれぞれがあらゆる言い回しや皮肉を言いながら

自分の主張を通そうとする。それが崩れると、一人を見方にして、

2対1で、もう一人を追いつめる。

 

基本、コメディ要素の強い舞台だが、事態はどんどん深刻になり、

最終的にこの家族は破滅に向かっていってしまう不条理密室劇である。

 

あらすじだけでも面白いのだが、僕自身は何より、英語劇を日本語訳で

観るという【体験】をどうしてもしたくなり、ハロウィンの夜に池袋へ出掛けた。

 

ここからは写真と合わせてお送りします。

 

まず、今回のキャストの皆さん。

これだけで既にどれだけインパクトがあるかは分かるだろうw

 

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(左からグリン・プリチャード、野田秀樹、キャサリン・ハンター)

 

渋谷のハロウィンは今年も凄かったらしいが、池袋はショップの子が

ポリスコスしてるぐらいでした。

 

夜の東京芸術劇場

 

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綺麗である。僕はこの施設が大好きで、ここで演劇を観た回数は

かなり多い。クローズしてしまったが、渋谷のPARCO劇場と同じぐらい

来ているだろう。

 

会場のシアター・イーストはエスカレーターを下った所にある。

三谷幸喜氏の【不信〜彼女が嘘を付く理由〜】もここで観た。

 

300ほどのキャパの劇場で、演じる側と観客がとても近い。

 

施設内にはこんな感じの看板(モニュメント??)も。

 

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プレビュー公演はお客さんをいれての最終調整公演なので値段が少し安い。

とは言っても役者側は本番と変わらない気合いの入り方である。

 

劇場内で配られた、イヤホンガイド。

 

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とにかくこれを付けた時からドキドキした。

 

開演前は会場内のBGM(80年代のアイドルミュージックっぽい)が

このイヤホンからも聞こえてきており、よく、ミュージシャンがイヤモニと

いうのを耳に付けているのをライブや映像で見ると思うが、まさにあれに近いと思う。

 

いざ、暗転し、芝居が始まると、ここから吹き替えが聞こえてくる。

 

これ、どういう風に説明すれば良いかというと、例えば、テレビを2台用意

する。更に同じDVDを2枚用意して、片方を完全な英語(字幕もなし)、片方を

吹き替えで同時に再生し、観る。

 

それに感覚が似ているw

 

野田作品はかなり構成や言い回し、言葉遊びが複雑な所があり、

それが英語になってるので、何かを逃すともう後戻りが出来なくなるw

 

この1年でこんなに神経を使った時があったか??レベルで僕は鑑賞していた。

 

見終わった後は正直、放心状態というか、疲れきってしまいw

80分の短めな作品ではあるが、これが2時間とかじゃなくて良かったと思ったw

 

ただ、英語劇をイヤホンガイドで観るという新感覚。

 

そして、芝居上では、女性であるキャサリンが日本特有の頑固親父に

扮し、男性であるプリチャードが今どきの<親とかマジウザいんだけど>

的なJK(女子高生)に扮し(これ、イギリス人なのか、プリチャードの

スタイルが良いのか、普通に可愛かったw)野田さんはお得意の中年の

おばさん的な母親に扮し、時折、日本語のアドリブを入れてw暴れまくる。

 

何と言うか、ここまで観客を混乱させる作品もないと思ったが、

僕はプレビュー公演でその斬新さに興奮しまくり、本公演のチケット

を翌日には予約していた。

 

本公演は2週間後ぐらいに行ったが、若干演出に変更があった。

 

そして、入り口では小さめなパンプレット的な冊子が配られた。

 

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粋な計らいである。

 

本公演はプレビューを観ているので、ゆっくり観れた気がするが、

野田さんの暴れ具合は加速していたw

 

しかし、あのラストはゾッとする。

というか、あの子守唄(行った人は分かる)がある種のトラウマ的な要素を

持っており、頭の中で鳴り響いている。

 

僕はプレビューでは、この家族が最後に見たあの光景というのは

幻に近いモノなんじゃないか??とも思ったが、本公演を観た後、

ある仮説を考えた。

 

『神でも、泥棒でもいい、とにかく、水を一杯くれないか??』

 

確かこんな感じで芝居は幕を閉じるのだが、この1杯というのは、

もはや、家族であっても関係ない、自分だけに一杯欲しいという

人間が持ってる本能を表しているのではないだろうか。

 

そもそも、自分自身が表に出たくて、あらゆる工作をしてきた

家族である。最後の最後まで、自分だけは助かりたいという

人間の滑稽さを描いている様にも思えた。

 

プレビューと本公演を観て、思ったのは、芝居やエンターテイメント

に国境はないという事だ。英語だから、どうせ分からないだろうと

行くのを戸惑っていた自分は何て狭い世界で生きているんだろうとさえ

思った。

 

キャサリンもプリチャードも演技が大好きな人達なんだろうなぁ。

本当に上手かった。

 

そして、配られた冊子に野田さんが『なんでこんな面倒な事をするのか??

それはドキドキしたいし、ドキドキさせたいからである』と書かれていた。

 

野田さん、ドキドキしました。最高でした。

 

いつの日か、この3人の芝居がまた日本で観れたら良い。

あれなら、今度はイギリスまで行っても良い。

 

何かを伝えたいという気持ちにボーダーはないのだから。

 

onegreenbottle.jp