C.E〜C次元・Entertainment〜

全てはC次元の世界へ

【やってみる】もし、村上春樹がサウナーでウェルビー今池に行ってレポを書いたら

<一章>

 

その時、僕は31歳であと、1ヶ月で32歳になろうとしていた。

 

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やれやれ、また歳をとるのかと美術館に展示されている

オブジェの様に身動きもせず、考え込んでいた。

 

すると、その呪縛を解く天の声の様に

「長らくのご乗車お疲れ様でした、次は終点、名古屋駅です」と

高速バスの運転手がマイク・アナウンスで告げた。

 

僕はバスを降り、名古屋の地に降り立った。

実に5ヶ月ぶりの事だった。

 

そのまま、地下鉄東山線に乗り込むと

文庫本を開き、今池まで向かった。

 

今池は平日昼間のせいなのか、ひどく【しん】としていた。

 

まるで、世界中の人類や動物、草木が滅亡し、

僕一人が取り残された様な気分になった。

 

今池の地下鉄の出口を出て、しばらく歩くと

【ウェルビー通】と書かれたアーチ状の文字が

僕の前に立ちはだかった。

 

「ウェルビー通」と僕はその言葉を反復し、深くため息をついた。

 

【ウェルビー通】を歩きながら、僕はジョン・コルトレーン

「マイ・フェイバリット・シングス」を口笛で吹いていた。

 

軽快なコルトレーンのテナー・サックスが間もなく

1コーラス目のサビのメロディーに到達したと同時に

僕はウェルビー今池にチェック・インした。

 

フロントにいたのは、40代後半ぐらいの男性で僕が名前を

告げるとあっという間にロッカー・キーを渡され、ひどく手際が良かった。

 

ロッカー・ルームに行き、館内着に着替えると

僕は館内の何処に何があるかをまず点検した。

 

そして、そのまま、浴室へ向かった。

 

浴室の脱衣所は都道府県別に分けられてあり、いささか

戸惑ったが、僕は大学時代に最初に寝た女の子が新潟県の出身

だったので、<新潟県>に館内着とボクサー・パンツを入れた。

 

浴室では間もなく、サウナ室で<サウナ・ヨガ>が始まろうとしていた。

ヨガのインストラクターは30代中盤ぐらいのショート・カットが似合う女性だった。

 

サウナはキャパシティも温度も悪くなかった。

 

彼女はヒーリング・ミュージックを小型のラジカセから流し、

サウナ室内の男達に様々な指示をした。

 

目を閉じろやら、足を組めやら、手を合わせろやら。

 

僕を含めた男達は普段やらない事を一通りやり終えると

まるで旧友であるかの様な奇妙な一体感を共有し合っていた。

 

サウナから出ると、先程の彼女が

次のサウナ・ヨガに向け準備をしていた。

 

僕は「サウナ・ヨガは奥が深い」と彼女に言った。

 

彼女は振り向き、僕の目をじっと見ながら

(もしかしたら、僕の後ろにある自分の勤務表を見ていたのかも知れない)

「サウナ・ヨガは奥が深い」と繰り返した。

 

「ねぇ、アナタ、見ない顔ね。この辺の人?」と彼女が聞いてきたので

僕は関東から来て、さっき名古屋に着いた事を話した。

 

彼女はさらに僕の目を食い入る様にじっと見て

「まさか、アナタ、サウナに入る為だけに

名古屋に来たなんて言うんじゃないでしょうね?」と言った。

 

「そのとおり」と僕は言った。

 

彼女はため息をつき、やれやれと言いながら、首を振った。

 

「ねぇ、今、平日の15時よ。今頃、アナタと同じぐらいの年齢の人は

ブラック・スーツを着て、髪の毛を黒くして、上司や取引先にヘコヘコ

して、住宅ローンや子供の教育費の為に必死に会社にしがみついているって

いうのに、アナタはサウナ・パンツだけでこうやって、サウナ・ヨガを

受けたり、お風呂に入ったりしているっていうのね?」と彼女は言った。

 

「そのとおり」と僕は言った。

 

彼女は更に深くため息をつき、首を振った。

 

僕は水風呂に入り、外気浴をしようと奇妙で複雑なダンス・ステップ

を踏みながら、外へ行こうとすると、さっきの彼女が

 

「ねぇ、アナタ、ロウリュとアウフグースの違いを200文字以内で説明出来る?」

と聞いてきたので、僕は「難しい質問だ。でも、好きなウィスキーの銘柄なら

言える。」と言った。

 

「ウィスキーの銘柄?」と彼女は言った。

 

「平日の昼間にヴェランダで飲むカティサークオン・ザ・ロックが好きなんだ。

アウシュビッツの様な閉鎖された時代の中で唯一落ち着けるひと時でもあり、

何より自由の象徴でもある」と僕は言った。

 

「アナタって変わってるわねぇ。ねぇ、この後もサウナ・ヨガが

あるから参加しなさいよ。せっかく名古屋まで来たんでしょ?

もう一度ぐらいサウナで身体を動かすのも悪くないんじゃない」

と彼女は微笑んだ。

 

オーケー、後でまた会おうと僕は言い、露天風呂への扉を開けた。

 

僕はプラスティック製の椅子に仰向けになり、雲一つない

青空を見上げながら、目を閉じた。

 

再び、浴室に戻ると、サウナ・ヨガにまた参加した。

 

そして、アメニティを点検すると、歯ブラシとT字型の

髭剃りとボディ・タオルを取った。

 

僕は身体を洗い、髪を洗い、シェービング・クリームで

丁寧に時間をかけて髭を剃った。

 

僕はサウナを5セットほど楽しんだ。

冷凍サウナや、からふろも悪くなかった。

 

からふろの中は【しん】としており、僕はセルフ・ロウリュ

をしながら、この9ヶ月間で寝た女の子の事を考えていた。

 

浴室を出ると、リクライニング・シートのある部屋で休んだ。

 

気が付くと僕は眠っていた。

 

短い夢の中で顔の見えない女が僕にまたがり、腰を動かした。

服を着ているか、着ていないかも分からなかった。

 

僕はその女の中で射精した。

 

起きると、時刻は21時を回っていた。

 

僕は大きく深いため息をつき、起き上がると今池の街へ出た。

 

しばらく歩くと、「味仙今池本店」という看板が見えたので

僕は入り、台湾ラーメンと手羽先を注文した。

 

店員は青いボトルに入った水とグラスを持ってきた。

 

台湾ラーメンも手羽先も悪くない味だった。

まるでもう数百回は食べているみたいに馴染みのある味でもあった。

 

僕はまた【ウェルビー通】を歩き、ウェルビー今池へ戻った。

 

浴室に入り、またサウナに入った。

ロウリュは毎時間、違う香りのアロマだった。

 

オレンジの香りの時はスクリュー・ドライバーが飲みたくなり

檜の香りの時は箱根に旅行をしたくなった。

 

夜の外気浴も悪くなかった。

 

レストランでビールを一気に飲んだ後、僕は

歯を丁寧に磨き、カプセル・ルームに入った。

 

僕は電気を消し、スマート・フォンにイヤホンを差し、

プリンスの「ゴールド・エクスペリエンス」をリピート再生にし、

それを聞きながら目を閉じた。

 

気が付くと僕は眠っていた。深い井戸の中へ沈んでいくみたいに。

 

 

<二章>

 

僕を起こしたのは、セットしたアラーム時計の音でもなく、

従業員の「お客様、おはようございます。只今、朝の8時半でございます」

という声でもなく、プリンスの「NOW!」と叫ぶ声だった。

 

僕はカプセル・ルームの中で起き上がり、プリンスの曲を止めて

眠っている間に「ゴールド・エクスペリエンス」が何回リピート再生

されたかを数えた。

 

そして、深いため息をつき、カプセル・ルームを出た。

 

僕はレストランに行き、ボリュームのある朝飯を

腹いっぱい食べ、食後に熱いブラックコーヒーを飲んだ。

 

チェック・アウトの時間まで僕はサウナ、水風呂、外気浴を楽しんだ。

朝一のロウリュも悪くなかった。

 

いささか、早いかと思ったが、僕は館内着を所定の場所に放り込み

ヨット・パーカーとブルージーンズに着替え、黒いリュック・サックを

持つと、フロントへ向かった。

 

料金を清算し、サウナの雑誌も購入した。

 

「ありがとうございました」

 

従業員の声を背に、白いテニス・シューズを履き、

僕はウェルビー今池を出た。

 

そして、【ウェルビー通】を歩き始めた。

 

今池から栄に移動し、5ヶ月前と同じ様に歩き回り、

名古屋駅に向かった。

 

知多半島ハイボールを飲ませてくれる店で一杯飲み、

僕は帰りのバス・ターミナルまで歩いた。

 

途中で立ち止まると、そこには【ウェルビー名駅店】

と書かれた看板のあるビルがあった。

 

いつの間にか、僕はつい先程までいたウェルビーグループの

系列店の前にいた。

 

僕は「やれやれ」と言い、また歩き出した。

 

ウェルビー今池の余韻を感じながら。

 

ありがとう。

 

※ウェルビー今池の体験を村上春樹風に書き直しています。

ハルキストからのクレームは一切受け付けておりません。

 

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c-entertainment.hatenablog.com

 

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